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企業×在校生 対談プロジェクト

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学生
  • 1年 ゲームプログラマー専攻 神里さん
  • 1年 ゲームプログラマー専攻 明石さん
  • 2年 スーパーゲームクリエイター専攻 東谷さん
  • 2年 ゲーム企画・シナリオ専攻 江崎さん
  • 2年 ゲームCGデザイン専攻 細井さん
  • 3年 スーパーゲームクリエーター専攻 ジョン・ジュオンさん

特別講師

  • オンライン研究開発部
    第二企画
    セクション所属
    岩橋 左侑
    入社10年目。『PHANTASY STAR ONLINE2』のプログラマーを経て、現在はフィールドの企画を担当。
  • オンライン研究開発部
    第二デザイン
    セクション所属
    河野 彰利
    入社5年目。武器デザイン・モデル作成を経て、現在は『PHANTASY STAR ONLINE 2』のエフェクトデザインを担当。
  • オンライン研究開発部
    第二プログラム
    セクション所属
    小高 大地
    入社7年目。『PHANTASY STAR ONLINE 2』にてフィールドギミック、ロビーギミックを担当。

08

株式会社セガゲームス × TECH.C.Sega×TECH.C

世界があっと驚く作品創りセガゲームスに入って
一緒に“遊び”ましょう

『龍が如く』や『PHANTASY STAR ONLINE 2』(以下『PSO2』)など数々のヒットシリーズを手掛けるセガゲームス社。第一線で活躍中のプログラマー(小高さん)、プランナー(岩橋さん)、エフェクトデザイナー(河野さん)に入社試験のこと、現在の仕事内容、仕事をする上で大切なこと、セガゲームスの強みなどを根ほり葉ほり伺いました。

Contents

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アイデアを出すプランナー、アイデアを形にするデザイナー、それら素材を料理して仕上げるプログラマー

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学生 みなさんのお仕事の内容を教えてください。

河野 僕はエフェクトデザイナーです。今はプレイヤー(主人公)やエネミー(敵)が使う必殺技などの演出を行っています。例えば、剣を振り上げて、オーラが溜まって、振り下ろしたら衝撃波が出る、みたいな場面をエフェクトで表現するという作業です。

岩橋 私はプランナーです。今はフィールドを担当しています。地形とその中にあるオブジェクトや、プレイヤーが使うギミックなどを考えるのが仕事です。ロビーやダンジョンなどのシーンにおいて、地形を活かした遊びや仕掛けができないかなどを日々考えています。例えば『PSO2』の「白ノ領域」と呼ばれる巨大な敵がたくさん出てくる場所があるのですが、城下町にしよう!とか、屋根の上に上がったところから巨大な敵の頭のところと戦えると面白いだろうな!とか。エピソード4では「東京」フィールドを作りましたが、大都会の中を疾走感あるダッシュができたら楽しいよね!とか。新しい体験を提供できるように企画しています。

小高 プランナーさんから「こういう遊びがしたい」という案を、デザイナーさんからは「こういうモデルを」とそれぞれの素材をもらって、それを料理するのが僕らプログラマーの仕事です。アイデアが技術的にできるのかどうかを検討したりします。これを実現しようとすると工数が増えますよなど。

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こだわりや達成感を、ユーザーやスタッフと分かち合える幸せ

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学生 作品に対してどのような「想い」を大切にしながら開発をしているのか、また制作における「やりがい」を教えてください。

河野 デザイナーの多くは、自分が作る以上かっこよくしてやろうという思いを大切にしていると思います。あとは、遊んでみて楽しく爽快感があるかですね。一人ではなく多くの人と話し合って作り上げていく際にやりがいを感じます。無事リリースされた時にスタッフみんなと達成感を分かちあう際は殊更感じる事ができますね。

岩橋 プランナーとしては、まずは遊んでくれた人が楽しんでくれるのが一番ですね。あとは、ゲーム内やSNSで話題になったり、こだわった部分にユーザーさんたちが気づいてくれるとうれしくなりますね。

小高 うちの『PSO2』の場合、長く運営が続いているので、新しい仕様が以前の仕様とバッティングするケースがあります。以前の仕様を楽しんでいるユーザーさんの気持ちと、新しい仕様を待ち望んでいるユーザーさんの気持ち、双方を尊重して対応しています。また、オンラインゲームなので、ユーザーさんからのレスポンスも早い。そこもやりがいにつながりますね。

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CGアニメーターの仕事内容について教えてください

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学生 御社で働いている女性の比率と、御社における女性の活躍を教えてください。

岩橋 部署によって異なりますが、オンラインコンテンツ事業部は多い方で女性は約1割。職種ごとに割合は異なっていて、デザイナーはもう少し多いですね。とはいえ、ディレクターやメインプランナーとして活躍している女性も、もちろんいます。女性ならではの視点、気づきは貴重だと思います。

河野 うちの部署にも今年5人新卒が入って、そのうち2人が女性です。少ないのに存在感がある。以前ほど男性社会という印象はありません。不安も少ないと思いますよ。

学生 CGアニメーターの仕事内容について教えてください。

河野 私はエフェクト担当なので、モーショナーとエフェクターに関して説明いたします。モーションを付けたいというのであれば、それはモーショナー。まず、プランナーから仕様書というものが出てきます。動かす時間(尺)と、どれだけの威力の攻撃なのか、といったゲーム的な必要要素を汲む。あとは、お任せで表現しても良かったりします。例えば、「前方に振り下げるアクションで攻撃したいです」くらいのオーダーだったりします。人によっては「あの映画の、あのシーンのような感じで」とより具体的に指示してくる人もいます。いかにその、実現したい表現を咀嚼して、自分なりにキャラクターに個性をつけていこうか、と考える。それは重たい剣なのか、振り下ろすときも重たそうに表現するのか、結構些細なことが大事になってきます。何を表現したいと思っているのか、を感じて、察してあげるというのが大事。モーショナーだけじゃなく、デザインにも言えること。いい作品を見て、“何がいいのか”“どこに、良さを感じるのか”といった視線を意識して、様々な映像作品を見る事が大事です。その経験が今後の仕事につながってくると思います。自分の引き出しをたくさん持つために時間があるうちに、たくさん見て、たくさん遊ぶのがよいと思います。

学生 1つのゲームを作るのに必要な職種はどれぐらいありますか?ゲーム作る際のワークフローを教えてください。

河野 ゲームに関わる職種というとたくさんありますが、開発に限定すると、大きくは4つです。企画を考えるプランナー、絵やモデルを作るデザイナー、それを組み立てるプログラマー、SEなどのサウンドチーム。それらの上に、コンセプトなどの目標を掲げてチームを導くディレクターや、ゲームをユーザーの皆さんに知っていただくための施策を考えるプロデューサーなどがいます。まずはプランナーがアイデアをだして仕様書をつくります。その後、現実的に着地させるためにプログラマーに相談。何度か繰り返して、期間と費用内でできる最大限の内容を詰めていきます。そうしたらデザイナーやサウンドチームに加わってもらって、実作業に入っていく感じです。

学生 ゲーム開発は分業が多いと聞いていますが 貴社ではどのような形で分業をされていますか?

岩橋 ゲームにおける重要な要素ごとに、班に分かれていることが多いですね。例えば『PSO2』は、プレイヤーがダンジョンに行ってエネミーを倒してアイテムを手に入れるゲームです。これらの要素を分割し、キャラクターのアクションを作る「プレイヤー」班、ダンジョンやオブジェクトを作る「マップ」班、敵の見た目や挙動を作る「エネミー」班、アイテムの仕組みの考案や実装を行う「アイテム」班などが存在します。また『PSO2』では、これらの各班が作成した要素のバランスを最終的に調整する「パラメーター」班などもありますよ。

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今後はゲームの楽しみ方が変わると思われますが、ゲーム開発もどのように変わるとお考えですか?

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学生 今後AR・VR(※)ゲームは増えると思いますが、どんなゲームを作りたいと思いますか?

河野 VRで自分の惑星をもって、建物を建てて、他の惑星を侵略しに行くというゲームが作りたい。それで遊んでみたい、自分が(笑)

岩橋 VRって没入感がすごいじゃないですか。僕としては、普段味わえない、体験できないシチュエーションのゲームを作りたい。まだ一人用のゲームが多いので、今後はみんなでマルチプレイできるような方向にもっていけると、VRの幅が広がるのではと思います。

小高 VRといえば、僕はホラーゲームですかね。僕は苦手なんですけど。怖くて。いつも途中で止めちゃうくらいなんですけど、でも、普通のホラーでも怖いのに、VRはもっと怖いだろうなと。作る側に立って、自身が体験する恐怖をユーザーに伝えたいなと思います。

※ AR:拡張現実。Augmented Reality。人が知覚する現実環境をコンピュータにより拡張する技術のこと

※ VR:バーチャルリアリティ。仮想現実、人工現実感。Virtual Reality

学生 一番開発で多く使用されているゲームエンジン(ソフト、プログラムなども)は?また、それを使用される理由は何ですか?

小高 社内で多いのはUnityでしょうか。『PSO2』ではゲームエンジンらしいエンジンは使っていませんかね。エンジンではないですが、使用ソフトではエクセルが意外と多い。パラメーター管理とか。エクセルなどの一般的なツールは、人が入れ替わっても簡単に受け継ぐことができる処が良いですね。あまり特殊すぎるツールは、使用者が少なくて、困ることもあります。汎用性がある方が学習コストも少ないですしね。

学生 今後さらにゲームの楽しみ方が変わると思われますが、それに対してゲーム開発もどのように変わるとお考えでしょうか?

河野 デザイナーとして言えば、考え方自体はそんなに変わらないと思います。遊ぶ媒体は時代によってどんどん変化はするんでしょうが、遊び方は変わらないのでは。いかに、新しい媒体が出てきたときに、分析して、その媒体にあったアイデアを出していくかですね。

岩橋 昔は開発体制の規模が大きく、発売までに数年かかることもありました。でも今は時代の移り変わりが激しい。なるべく開発スパンを短く、フットワークを軽くして、ユーザーの皆さんが求める一歩先を行けるのが良いと思います。最近はネットワークに接続して遊ぶのが一般的で、発売後のアップデートも増えている。アップデートするとすぐに、ユーザーのリアクション・不満点・希望・課題が、すぐフィードバックされる。もっとレスポンスよくアップデートして、ユーザーと開発側が一緒になって1つのゲームを成長させる、というようになりたいと思っています。

小高 時代とともに求められるクオリティレベルが上がってくる。そこに応えたいです。

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海外で気になるゲームソフトは?ゲーム開発会社は?

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学生 海外のゲーム会社ではどのゲーム会社が気になりますか?またその理由は?

河野 オランダに『キルゾーン』などを作っているゲーム会社「ゲリラゲームズ」というのがあります。実はオランダは「年間の平均労働時間の最も短い国」として選ばれています。それなのに『キルゾーン』のようなハイクオリティなゲームを作っている。ということは、先ほど小高が言ったように、いかに効率よく作っているかということです。ワークフローを簡略化して、多くのものを短時間でたくさん作っている。そのフローが肝になっていて、作り方においては学ぶべき点が多いんじゃないかと思います。あとは、人気コレクティブルカードゲーム『ハースストーン』などを作っている「ブリザード」とかは、特に、シネマティックトレーラーがよくできている。純粋に開発スタッフが楽しんでかつハイクオリティなものを作っているんだなと思い、見習いたい部分です。

岩橋 個人的にeスポーツ(※)に興味があります。海外では盛り上がっていますが、日本ではまだまだの状態。先ほども名前が出てきた「ブリザード」の『ハースストーン』、あるいは『オーバーウォッチ』『ヒーロー・オブ・ザ・ストーム』など、カジュアルでも楽しめるゲームであり、なおかつ競技性もあり、海外では一大ムーブメントも起こすほどです。日本でも新しいeスポーツ向けのゲームを提案できないだろうかと思っています。

小高 『グランド・セフト・オート』『レッド・デッド・リデンプション』などを手掛けるゲーム会社「ロックスター・ゲームス」が気になります。プログラマーとしては、オープンワールドが大変そうだけど、気になります。良くやるなぁ、と(苦笑)

※ eスポーツ(e-sports):「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略でコンピューターゲームやビデオゲームで行われる競技のこと

学生 海外でどのように御社のゲームをPRしていますか?ターゲットとされている国はどこですか?また何故でしょうか?

岩橋 海外よりもまず日本で、とは思います。自分たちがアメリカでヒットするゲームを作ろうとするならば、現地に住むしかない。日本に居ながらでは推測するしかない。でも、それではヒット作品は作れないと思う。肌で現地のニーズを感じ取ることができないと思うので。なので、まず日本に住んでいる私たちが日本人ユーザー向けの面白いゲームを開発するのが一番で、日本でヒットしたものが結果的に海外でもヒットすればいいし、それが自然な流れかなと。海外市場も視野に入れつつ、日本から発信していくというスタイルですね。またセガヨーロッパなど、弊社には海外に拠点がたくさんあります。拠点があるということは、イコール、ターゲットエリアですね。ソニックなどは北米で人気がありますしね。日本での地盤を確実にしつつ、海外へという流れ。PRは現地の会社と契約して、現地の人向けにマーケティングやプロモーションを展開しています。

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新卒でプランナー志望の人たちに身に付けておいてほしいスキルはありますか?

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学生 新卒でプランナー志望の人たちに身に付けておいてほしいスキルはありますか?教えてください。

岩橋 先ほど話したように、いろいろなデザイナーやプログラマーたちと、頻繁にやり取りするので、自分の考えを的確に伝える、人の話をきちんと聞く・汲み取るなどのコミュニケーション能力が大切かと思います。作業が円滑に進むように、各人が思い描くビジョンがずれないように、調整したりなど。

学生 ゲームエフェクターを目指しているのですが、プログラマー、プランナーなどと違い、明確に何が出来れば就職できるかわかりません。(ツールなど)どうすれば良いかアドバイスをいただけると幸いです。

河野 ツールの知識はポリゴンモデルの知識と、マテリアルの知識さえあればOK。あとはもういかに観察眼を磨くかだと思います。ひたすら、良いと言われている作品をたくさん見て、その良さをロジカルに分析することですね。そして、絵や言葉で表現できるように。人に伝えることができるようにする。色、速度、緩急、メリハリ、そのアクションのピークはどこか、惰性はどこかなど。そのような分析するくせを付けることかなと。学生時代はどうしてもツールに目が行きがちですが、ツール自体は勉強すれば誰でも使いこなせるようになるので。

学生 これからのゲーム開発で必要な技術、人材について教えてください。

河野 どの職種でも同じ。先ほどの岩橋さんの言ったことがすべてだと思います。とにかく、コミュニケーション能力。チームで働くということを忘れずに、意識すれば。技術的なことで言えば、例えば「爆発シーンを作りました」と持ってくる人は多い。でもそれだけじゃなく、自分で絵コンテから作ってみるとか。起承転結を考えて、絵作りしたという経験が大切かと。ツールは「After Effects」でも、「3ds Max」でも、「Maya」でもなんでもいい。一つだけでいいから、最初から最後まで取り組んだこだわりの作品があればよいと思います。

小高 フリーのゲームエンジンに触ってみては。ゲーム開発したいという意欲を掻き立てることになると思います。

岩橋 プランナーとしては仕様書や資料作りが多いので、エクセルを使いこなせると良いと思います。入社後でも十分ですけどね。

学生 少子高齢化社会に向け、多国籍人材を必要とされていますか?それとも海外のブランチを強化される考えがありますか?多国籍人材を必要とされている場合、特にどの国の人材(何語を話せる人材)を必要とされていますか?

岩橋 海外の方の新卒採用は増えていると思います。あと、海外のソフトは説明書が英語なので英語が読めると良いですね。

河野最先端の情報や知識は、海外の大企業が率先して取り組んで、その後研究資料がリリースされる。国内の資料だけでは足りない。その海外資料を読解するためにも英語が。例えば映画のVFXで使われている「Houdini (フーディーニ)」という海外の3DCGツールがあります。それを使えるようにしていこうという傾向があったりして。日本語解説資料が足りない。するとどうしても英語サイトを調べなければいけない。

学生 今現在、セガで最も需要がある人はどんな人間ですか?(どんなスキルやどんな人物を求めますか?)

河野 これも先ほどと重複した回答になりますが。会話の中で難しい課題に直面した場合でも「これは無理です」という人よりは、「ここをこう工夫すれば解決できます」という風に言える人、いいですよね。面白い方向に考えを向けることができる人は需要があります。重宝されます。「できない」というのは簡単ですからね。無理を乗り越えるように考える癖を付けるとよいかと。

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就職する上で役に立ったことはありますか?

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学生 就職前に経験したことで、就職後に「あれをやっておいて良かった」と役に立ったこと(勉強や部活や趣味)を教えてください。

岩橋 学生の頃、ホームページを作ったりしていましたが、結構良かったなと。デザインの勉強というよりは、ひと通り作った後に色使いやフォント使いを見直して、欠点を改良するためには何をすればいいかを考えた経験が、今の資料作りに役立っています。

河野 僕、大学時代は広告業界を志望していたので、自分でプレゼンボードを作って、発表する説明するという経験をしていました。話す技術というか、場を何度も踏めたのが大きかった。デザイナーは話すのが苦手な人が多いので、コミュニケーションする土台ができていたかなと。話すことに抵抗はなかったです。

小高 複数人で一つのプログラムを分担してやる経験を学生時代に出てきていたのがよかった。分業で進みますから、協力して作業するという経験は大切です。個人的なことで言うと、居酒屋でバイトしていたので、人と話したり、声を出したり、そんな経験はよかったと思っています。「いらっしゃいませー」の声だしとか(笑)。

学生 忙しい時の気合の入れ方、休日などの息抜きの方法はどのようなことをされていますか?

岩橋 忙しい時は、作業を細かく紙にリスト化しています。ゲーム感覚で一つずつ消していくと、達成感があります。息抜きは休日の映画ですね。映画の世界に没入します。仕事を忘れて、その世界の住人になって。

河野 忙しい時は同期入社の人間に忙しいアピールしに行きます(笑)。こんなにやることあるんだよねーって。そうすると同期はもっと忙しかったりして、(あ、僕の方がましだ)ってことになって、溜飲が下がるという(笑)。問題は、一番自分が忙しい時は通用しないテクニックだということ(苦笑)。休日は一人で何も考えずに、何にも考えずに済む「スポンジボブ」を観て頭を空っぽにします。

小高 忙しい時は特に、発注してくれた人の喜ぶ笑顔を想像しながら作業します。最近、ホットヨガをしているので、休日はもっぱらホットヨガ。ちょっと体を動かして、あとはひたすら寝ます。

学生 目を引くポートフォリオはどのようなものですか?

河野 ザイナーであったら一番求められるのは基礎描写力、デッサン力。ただ、あくまで基礎能力なので、そんな中で目立つことをしたほうがいいですね。学生時代の話ではないのですが、先日公募形式のエフェクトコンテスを見た時に、みんなが普通に魔法や炎を演出している中、1位をとった作品は製氷機が氷を作るというただそれだけの作品だったんです。氷が製氷機から落ちてくるときの冷気、氷の細かな破片とか。粒が乱反射して輝いている様子とかを表現していました。このように他の人がやらないようなものを、自分の能力を発揮して作ってみると採用者の目を引くと思います。「なんで作ったの?」って採用者に言わせたら一つ引っかかりになると思います。先ほども言いましたけど僕はもともと広告業界志望でしたから、ポートフォリオの内容は広告作品と予備校時代の作品(デッサンと色彩構成)だけでした。ほとんどが広告業界向けのプレゼンボードでした。某企業との産学共同経験で、社長プレゼンしたときの作品も入れたり。背景やキャラクターなどのイラストをいくつか用意してアピールしました。あとは面談中いかに社員の人と打ち解けて話が出来るかということに注力しました(笑)。ここ数年は様々な企業でディベート(1グループ6~7人)形式の採用面接が導入されているようです。その場でちゃんと発言できないと厳しいと思います。僕は美大出身ですが、TECH-Cさんのように、学生時代に実際に最後まで作り切って作品を用意できる人は強いと思います。自信を持って多くの作品を作ってください。

岩橋 企画書はまず初見のインパクト。その次にアイデアを活かしてユーザーがどう楽しむのか、商品として売れるのか、などをトータルに説明してあると目を引くと思います。アイデア+説得力ですね。

小高 どっちかというと提出物は単なる引っかかりにしか過ぎません。大切なのは制作物の意図や背景をしっかり説明できるかどうかではないでしょうか。私が入社面接を受けた時は、どんなプログラムが組めるかどうかは資料に書いて提出した程度で、面接で技術的な質問をされました。そのくらい。

学生 同僚の方とコミュニケーションを取る上で気をつけていることを教えてください。

岩橋 なにも気を付けていないかなぁ(爆笑)。でもまぁ、雑談は多いですね。その中から新しいアイデアが閃いたり、思わぬ発見があったりします。会社を出たら、コンプライアンスもあるので、仕事の細かい話は一切しませんね。

河野 同僚と話すとき気を付けている点。同業者として経緯は常に持って話すようにしています。経緯がないと、よくないことが起きたりするので。

小高 当然、同僚とは仕事の話メインになりがちですから、他の共通点を見つけて(プライベートなことを)話すことも大事かなと思います。

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モーションキャプチャーは手付けですか、それともキャプチャーですか?

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学生 入社前と入社後で会社への印象が変わった部分はありますか?

河野 思ったよりも(良い意味で)緩いなぁと。想像していたほど厳しくはないですね。残業しているは好きで残っている人ですね。納得いくまで作りこみたい、作り直したいって人が残って仕事していると思います。

岩橋 ゲーム会社に対しては「超忙しくて何日も会社に寝泊りして」という先入観がありましたけど、「思っていたよりもちゃんとしてるな!」と思いました。夜遅くまで残るときもありますけど、土日も出社ってことはない。健全です。

小高 入社前は『龍が如く』のイメージが強くて、(怖い人がいっぱいいるのでは…)と思っていました(笑)。先輩もみんな優しくてよかったなと。

学生 モーションに関してなのですが、モーションキャプチャーは手付けですか、それともキャプチャーですか?また、使用ソフトは?

河野 ロビーエリアは待合室、ロビーアクションに関しては、すごい派手なモーションは必要ないので、モーションキャプチャーを使用。イベント中、ストーリーモードでの人のしぐさはモーションキャプチャー。一方、必殺技などのシーン、3メートル飛んでから4回転して剣を下に突き立てる、なんてアクションは生身の人間では無理なので手付でやっています。「Maya」は使えると良いと思います。「3ds Max」も使いますが、「Maya」が多い。業界内シェアも高いですし。

学生 僕はホラー系ゲームの企画書画ばかり書いています。みなさんのおすすめのホラーゲーム・ホラー映画は?

河野 映画では『パラノーマル・アクティビティ』がよかったです。あの“じらし感”が。じらされて、じらされて、なにもない!みたいな。(怖いシーンが)いつくるのかまったくわからなくなるという。

岩橋 PCゲームのダウンロード販売サイト『Steam』から出ている『Dead by Daylight』がいいですよ。ホラージャンルかどうかは、ちょっと違うかもしれませんが。サバイバー4人と殺人鬼1人で争う非対称型オンライン対戦ゲームなんです。後ろから殺人鬼が襲ってくる中、そのエリアから協力して逃げようとする、鬼ごっこ的な。他のプレイヤーが殺人鬼になったりもできるので。スリルがすごいですよ。

小高 『バイオハザード』まではできましたが、僕は怖がりなので(笑)、ここまでです。『サイレントヒル3』で頓挫しました。非力な女性主人公が、という世界観でも恐怖を増幅しているのは関心しました。クリアできていないのでここまでしか話せませんが(笑)。

学生 エフェクトの面から、おすすめのゲームソフトは?

河野 最近で言えば『インターステラ―』、VFXの点ですごくよくできていたのは『プロメテウス』。巨大な宇宙船とか、ユーザーインタフェースが。電子マニュピュレーターが出てくるんです。『アイアンマン』で言うところのジャービス的なものが。アイアンマンまでいかない未来感。『プロメテウス』は近代に寄っていて、リアリティがある。(もしかしたら、こんなの本当にできそう)という。惑星に到着すると超文明に遭遇するのですが、そことの差をくっきりと描くために、あえて近未来ではなく、近代的な電子マニュピュレーターとして描いている。その辺のこだわり、意図にしびれますね。宇宙船も、船内の操作機器もちょい古めに描いているわけです。例えばインターフェースの色が最先端のカラーリングで描かれている。『アイアンマン1』だとオレンジがかっこいいと思われていた頃だからオレンジ、『アイアンマン2』ではそれがブルーになり、『アイアンマン3』ではホワイト。あと移動の軌跡もそう。一時期は直線的に移動するのがかっこいいとされていた。でもいまだと、カーブを描きながらイーズインしながら収まるのがクールだとされている。こだわりを細部に感じてください。アメコミ系はVFXがよくできています。あとは世界で最も多くの人にプレイされているMMORPG「ワールド オブ ウォークラフト」ですね。それが映画化されたのですが、日本ではファンが少ないので、公開すぐ終了しちゃった(苦笑)んですけど、その映画のワープシーンがおしゃれでかっこいいです。ぜひ、観てください

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ゲーム開発は大勢での協力作業頻繁なコミュニケーションが成功の必須条件

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学生 どのような人材を必要としていますか?

河野 チームで製作する以上、ゲームは一人で作るものではなくなります。例えば、僕がいくらポリゴンモデルをうまく作成したとしても、ゲームでどう使うかという部分は岩橋のようなプランナーがリードして考えなければなりません。実際にゲームとして機能させるには小高のようなプログラマーにゲームに組み込んでもらわなければなりません。そのため担当者を集めてこのような複数人で話し合う機会がものすごく多くなります。管轄の多い人だと30分のミーティングが1日に何個も入っていたりします。そういった場でいかにいいものをつくるために発言できるか、それもちゃんと周りが言っている意見もちゃんと汲み取って、どの方向性が進めやすいのか、成功に導きやすいのかを考えて発言できる人が求められると思います。新人のうちからすぐに誰にもそれができるとは期待はしていませんが、そういう場に入ることに抵抗がなく、人の話をちゃんと聞くことができて、自発的に発言できる方が必要とされています。

小高 職種関係なく、ゲームをよくするために、ゲームを好きな人がいいのかなと思います。ゲームに興味がないと、何をどうすればよいのかわからないとも思うので、学生のうちに、たくさんゲームで遊ぶのもいいのかなと。

岩橋 面白さを日ごろから分析できる力は必要だと思います。最近で言えば映画「シン・ゴジラ」や「君の名は」などが、なぜヒットしているのかを考える癖。もし自分が面白くないと感じたとしても、他の多くの人々が面白いと思っている場合、どこの部分が面白いと思われているのかを、自分の気持ちとは別に、客観的に分析できないといけないと思うんです。自分の作るコンテンツのターゲット層が自分とは別の層の場合でも、との人たちにどういうものが響くのかを考える力を育ててほしいです。

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遊ぶ人の気持ちや考えを忘れない人になろうそれがセガの強み、セガの極意

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学生 これからゲーム業界を目指す人たちへのエールを頂きたいです!

岩橋 ゲームは自分の考えた遊びやルールを、何十万・何百万のユーザーが夢中になって遊んでくれる、話題にしてくれるすごいものです。パッケージ版のゲームだと、発売日に多くの方がお店に並んでくれたりして。長い期間をかけて作ったもの、待ち望んで買ってくれている姿を見るとやりがいをすごく感じますし、感動もします。ぜひ、ゲーム業界に入っていただいて、一緒に新しい遊びを創りましょう!

河野 作る楽しみ、遊ぶ楽しみを両立させることが大切です。作ることに没頭しすぎると遊ぶことを忘れちゃう。でもそれではだめで。こっち側に来ると「ユーザー目線」というワードにたくさん触れると思う。それは「遊ぶ人の気持ちや考えを忘れないでね」ってことです。自分の引き出しを空っぽにしないように、アイデアを吐き出しつつ、アイデアを貯めつつ、進んでいってほしいですね。学んでいくというよりは、遊んでいくというスタンスが重要。こっち側に来てください。一緒に“遊び”ましょう。

小高 趣味を仕事にして、今すごく楽しく働いています。授業中に感じる楽しい気持ちを大切にしたまま、就活をがんばってください。

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