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企業×在校生 対談プロジェクト

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学生
  • 1年 ゲームプログラマー専攻 堀江さん
  • 1年 ゲームプログラマー専攻 高田さん
  • 2年 ゲームCGデザイン専攻 薗部さん
  • 2年 スーパーゲームクリエイター専攻 鷲頭さん
  • 2年 スーパーゲームクリエイター専攻 伊豆さん
  • 3年 ゲーム企画・シナリオ専攻 森定さん

特別講師

  • 代表
    河﨑 高之
    マイクロソフト、スクウェア・エニックスでプロデューサーとして数多くのゲームを制作。2010年からエピック・ゲームズ・ジャパン設立にあたり「アンリアル・エンジン」のライセンス営業・技術サポートをしながら代表を務める。

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Epic Games Japan × TECH.C.Epic Games Japan×TECH.C

ゲームの枠を超え実世界と情報が融合する
最先端技術を追求したい

その表現力と画像の美しさに定評のある3Dゲームエンジン「Unreal Engine(アンリアル・エンジン)」。今やゲーム業界にとどまらず、アニメや映画などさまざまな場面でその技術は生きている。Unreal Engineの国内ライセンスを管理するEpic Games Japan代表・河﨑高之さんに、その将来性やゲーム業界に入るために大切なことを伺いました。

Contents

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表現力の高さに加え
効率性を重視したUnreal Engine

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学生 ゲームエンジンとはなんでしょうか? またUnreal Engine(アンリアル・エンジン)の特徴を教えてください。

河﨑 ゲームエンジンというのは、どんなジャンルのゲームでも、必ず共通して必要となる部分をパッケージとして切り出したものです。それによって、ゲームを制作するときにゼロからではなく、より効率よくスタートすることができます。弊社の「Unreal Engine(アンリアル・エンジン:UE)」は、数あるゲームエンジンのひとつで、おそらく一番古い部類に入ると思います。一般的に評価されるのは「表現力の高さ」と「画像の美しさ」ですが、弊社としては「いかに効率よく開発してもらえるか」に重点を置いています。具体的には「ブループリント」と呼ばれるツール。これをうまく使えばプログラマーがいなくても、アーティストやゲームデザイナーが自分の手で試行錯誤しながら高度なゲーム開発を進めることが可能です。国内作品に特化するとCGやアニメ映像、同じコンテンツのVRバージョンなどでも使っていただくことが多いですね。

学生 UEを開発したきっかけとは?

河﨑 実は、当時ゲームエンジンという概念がなかったので「開発しよう」と思って始めたものではありません。その頃、弊社の米国本社で作っていた「Unreal」というPC版ゲームには、ユーザーが自分でマップやシナリオを作ることができる「MOD(モッド)ツール」と呼ばれるツールが付属されていました。このMODツールは「Unreal」専用のものだったのですが、これを使ってゲームそのものを作りたいとの問い合わせを数多くいただくようになり、ライセンス化したことが始まりです。

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長期的な目標は定めず
改善は環境に合わせて柔軟に行う

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学生 ドラゴンクエストXIやコードヴェイン、フェイタルバレットなど国内のコンシューマー(家庭用ゲーム機)向けソフトで UE4 を採用しているタイトルが増えている印象がありますが、今後も増えていくのでしょうか?

河﨑 はい、増えていきます。日本ではスクエア・エニックスさんやバンダイナムコさんによく使っていただいていますね。すでに発表されているタイトルでは、いま挙げてもらったもののほかに「ファイナルファンタジー」や「キングダムハーツ3」などがありますし、まだ発表されていないタイトルも。特に今年はニンテンドースイッチ向けのプロジェクトも出てきていますので、今後も増えていくと思います。

学生 UE4のバージョンアップの際に 一番比重を置いているものは何でしょうか?

河﨑 その時々ですね。弊社ではあまり長期的なロードマップを決めていません。やりたいリストのようなものはあるのですが、それをどのような順番でいつやるかなど具体的にはそのときになって決めています。というのも、UEの使い方は人それぞれで、かつ、ほかの技術との融合やハードウエアの進化など、どんどん環境は変わっていく。あまり早くにしっかりと決めても、結局変更しないといけない点が出てくるのです。そのため、あえてフレキシビリティ(柔軟性)を残す、というのが弊社のやり方です。UEは約3ヶ月に一度新しいバージョンを出しているのですが、それが出たら次のはどこまでやろうかな、と緩く考えるくらい。次の3ヶ月、半年にすることを、そのタイミングでどんどん更新しています。

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ゲームにとどまらずAR、MRの進化に沿って幅広い分野で活躍したい

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学生 UEをどのように展開していきたいとお考えでしょうか?

河﨑 ゲーム以外の業界にも力を入れていきたいですね。具体的には映像、映画制作、「シミュレーション」や「ビジュアライゼーション」と呼ばれるものです。昨年末公開された「スターウオーズ ローグ・ワン」でも使っていただきましたし、そのような広がりを強くしたい。また、AR(拡張現実)やMR(複合現実)など、現実の世界と情報が合わさるような技術は今後進んでいくし、リアルタイムで何かをレンダリングして描写するというニーズもどんどん増えていくと思います。そこで使ってもらえるとUEの活躍の場は増えるのではないかと期待しています。先日もアメリカの「The Mill(ザ・ミル)」という会社がUEの技術を使った面白い取り組みを発表しました。反射情報を取得するためのカメラやマーカーを設置した“骨組みだけ”のクルマを、実際の道路で走らせると、リアルタイムで画が合成され実車が走行しているように見えるというものです。合成されたクルマのボディや窓ガラスには、反射情報をもとにした周囲の環境が映り込むので、観衆は大変驚いていましたね。弊社社長のティム・スイニーは「VR(仮想現実)、AR、MRが進化すれば、人類の文明を変える存在になりうる。火薬や印刷機、原子力と並ぶインパクトのある発明になる」と以前から話しています。けれども、そこまで進化したときに参入しようとするのでは遅く、今のVR開発のトレンドを追っていないとついていけない。そのような理由から弊社ではずっとVRに力を入れているのです。

学生 UEを勉強する上で気をつける点、学生時代に学ぶべきことは?

河﨑 UEはバージョンアップが頻繁でどんどん変わっていきます。勉強し始めは、全体を浅く見る方法でいいと思いますが、ある程度慣れて自身の得意分野や興味のあることが明確になってきたら、深く追う前に次のバージョンアップ予定を把握した方がいいかもしれません。習得したことが別のものに置き換わることもあるので、順序を考えながら勉強することをおすすめします。学校で学ぶ教科では、英語と数学は強みになるでしょう。ゲーム制作の最先端は技術的、量的、内容的にもやはりアメリカが本場です。英語ができないことが壁になってしまう。数学は、特にプログラマーの場合には重要です。中高レベルの数学を理解していないと、3Dのゲームを設計するのは難しいでしょう。複数の物体の動きを再現するためには、ベクトルと運動量がわからないと計算できませんし、微分積分も必要です。言語でいえば「C++」が一番武器になると思います。

学生 今後、ゲーム業界が期待する人物像は?

河﨑 UEスキルを持つ人材のニーズは非常に増えています。実際僕のところにもUEが使える技術者を紹介してほしいという依頼は毎週のようにきています。また僕自身は、ゲームにしか興味がないことは良くないと思っています。そのような人が作るゲームは、「ゲームしか知らない人が作ったもの」になる。一般の人がどんなことを楽しいと感じ、何が流行って求められているかーーそれを理解した上で作らなければ、一般の感覚から乖離してしまいます。日々「一般的」な感覚を持ち続けることは非常に大切なことです。また、本気でゲームを仕事にしたいのであれば毎日2時間ゲームをやってみてください。結構過酷ですが、1年間続ければ必ず得るものはあるはずですし、逆にそれがツラいようであればほかの道を考えたほうがいいと思います。

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英語ができればよりいっそう楽しい世界は広がる

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学生 英語はどのように身につけましたか?

河﨑 子どものころからゲームが好きなのですが、僕が生まれたときにはまだテレビゲームはなく、ボードゲームをしていました。今でいうTRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)、紙とサイコロで進めるロールプレイングゲームなのですが、最初の「ダンジョンズ&ドラゴンズ」が紹介された記事を、小学校6年生のころに読んで「アメリカにはこんなにすごいゲームがあるんだ!」と衝撃を受けて……。どうしてもやりたかったのですが日本語版が出ていなかったので、中学1年生の夏休みに梅田のおもちゃ屋さんで英語のスターター、ベーシックセットを買いました。開けると200ページくらいの英語のルールブックが2冊入っていて(苦笑)。まだ文法も分からない状況で、「とりあえず単語を全部辞書で引けばなんとかなるだろう」と、単語の意味だけ調べながら遊べるようになったことが、英語に触れた最初の思い出です。英語ができると楽しいことがあるという、強烈な刷り込みを自分で……(笑)。まともに会話できるようになったのはマイクロソフトに入ってからだと思います。必要に迫られれば伸びる。あとは「英語ができれば楽しい世界が広がる」、これをモチベーションにしてがんばってください。

学生 TECH.C.からエピックゲームスにもし採用できるとしたら条件は?

河﨑 弊社ではこれまで専門学校、大学に限らず新卒で採用していませんでした。というのも、プロの開発会社にサポート、アドバイスをする立場なので、なかなか経験のない新人にはむずかしかったからです。しかし、弊社も仕事の幅が広がっているので今後はチャンスが出てくる可能性はあると思います。その場合、英語ができるに越したことはありませんが、それよりはUEの知識ですかね。こうしてアカデミック・パートナーとして教育機関に対して協力させてもらっているのも「将来の投資」に尽きます。学生の間にUEを覚えていただいて、ゲーム会社なり映像会社なりに行ったときに活かしてもらいたい。世界レベルで言うと、この分野での日本の専門教育はむしろ遅れているくらいです。

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なくなっても困らないのがゲーム
だからこそ尊い職業

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学生 やりがいを感じるときや逆に大変だと思うときは?

河﨑 自分が関わったゲームが、専門誌やWEBメディアで評判がいいとうれしいですね。お店に並んでいるのを見たり、実際に手に取ったお客さんを目にすると抱きしめたくなります(笑)。一方でワゴンセールに乗っていると落ち込むのですが、それこそがこの仕事の醍醐味とも思っています。自分が好きだったゲームや尊敬していたクリエイターの方にUEを使っていただけたとき、実際、UEを使って開発されて「助かりました」や「おかげでいいものが作れました」と言っていただけることもあります。最近では「ドラゴンクエストⅪ」が非常にいい出来で、多少なりとも自分も携われたというのはすごくうれしかったですね。日々、夢中でがむしゃらに取り組んでいるので仕事を「大変」だと思うことはあまりありません。

学生 ゲーム業界を目指す学生にアドバイスをお願いします。

河﨑 ゲーム制作者は世の中でもいらない職業の上位にあると思っています。なくなっても誰も困らなければ、支障もなく世界は回っていくような、あってもなくてもいいもの。だからこそ尊い。なくてもいいかもしれないものにも関わらず、ちゃんとお金が発生して、待っているお客さんがいてくれる。それだけに、いいものを作ってお客さんを楽しませる義務がある。その点で非常にやりがいがあって、すばらしい夢のある仕事だと思いますので、ぜひチャレンジしてほしいです。

どんなことを楽しいと感じるか。一般的な感覚を忘れないでほしい

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