コース紹介
「夢中」になれる仕事、きっと見つかる!TECH.C.だから様々な「職種」と「業界」が目指せる!
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憧れの作品に携われる喜び
だからこそファンの期待は裏切りたくない!
「GANTZ:O」「デスノート Light up the NEW world」など人気作品の劇場版や、「バケモノの子」をはじめとする細田守監督作品のCGを手掛けるデジタル・フロンティア社(以下、DF)。映像制作の最前線に立つDFで活躍するプロダクションマネージャーの吉井博之さん(TECH.C.卒業生)と人事担当の阿部健志さんに、仕事の楽しさやTECH.C.に期待することを伺いました。
学生 映像作品を制作する上で大切にしていることや、人を楽しませるための工夫、プレッシャーはありますか?
吉井 まずDFの場合、「原作ありき」の作品が多いので、原作が好きな方にも受け入れてもらえる演出を心がけています。事前に打ち合わせを重ねて、“キャラクターはリアルな描写にするのか、アニメ風にするのか、ストーリーをどう良いものにするか”などをクライアントや監督と時間をかけて話し合い、方向性を決めてから制作します。また、作品制作で大切にしているのは「新しい表現」です。私が関わった「GANTZ:O」や「デスノート Light up the NEW world」は続編だったのですが、前作を受けた上で新しいことにチャレンジしようという熱意が根底にありました。例えば、「デスノート」では、DFスタッフが死神のキャラクター「リューク」を新しくデザインから手がけるなど、これまでにない試みもありました。よく見るとリュークに産毛が生えているなど実写に近い表現ができ、海外にも負けないクオリティを出せていたのではないかなと思います。もちろんプレッシャーもありましたが、それよりも新しいことにチャレンジする気持ちのほうが社内でも強かったと思います。
学生 ふだんの生活で心がけていることはありますか?
吉井 映画や漫画、アニメなど、意識してたくさんの作品を観るようにしています。通勤中も電車で「Hulu」や「Netflix」を観たり、休日に映画館に足を運んだり。たくさんの作品を知っていることは、会議などで関連した話が出たときに“強み”になります。また、監督やクライアントから、作品を「こんな風にしたい」と言われた際にも、具体的なイメージを思い描けますし、イメージを正しく社内に伝えることができると思います。
学生 1つの作品をどれくらいの人数で作っていますか?
吉井 作品にもよりますが、10分程度のゲームのオープニングムービーであれば50人程度で作ります。「GANTZ:O」の場合は、社内外で300から400の人が動いていました。その一方で、CM案件で女優さんの目に死神の目を合成するようなコンポジットのみの作業では1人に任せることもあるので、作品によってですね。
学生 「GANTZ:O」で使ったモーションキャプチャの撮影カメラの台数を教えてください。
吉井 カメラは100台あります。モーションキャプチャ用のカメラ以外に、顔(表情)を撮るためのヘッドマウントカメラというカメラを付けているので、それを含めると100台以上です。ちなみにヘッドマウントカメラは既製品ではなく、小道具としてオリジナルでつくりました。ヘッドマウントカメラは、アクションしているとズレてきてしまうのですが、ズレないようにきつく固定しすぎてしまうと苦しくて具合が悪くなる人もいます。また、カメラについているLEDライトの発光で目がくらむ人もいるので、いかに、アクターさんに負担無く演技してもらえるかを考慮して自作しています。
学生 「GANTZ:O」で使用したソフトウェアや、髪の毛や色調整について教えてください。
吉井 モデリングまわりは「Maya(マヤ)」と「ZBrush(ゼットブラシ)」でつくっています。アニメーションは「モーションビルダー」を使っていますね。DFはモーションキャプチャがあるのでモーションビルダーのほうが使い勝手がいいんです。セットアップもMayaですが、髪に関しては「Maya nHair(マヤヘアー)」というプラグイン(拡張機能)を使っています。ソフトに関しては、エフェクトであれば「Houdini(フーディニ)」。以前はマックスを使っていたのですが、どんどんフーディニに移行しています。
学生 仕事のやりがいやデジタル・フロンティアに入社してよかったことは?
吉井 作品のエンドクレジットに自分の名前が載っているとやはり嬉しいなと思います。中学生のころから「GANTZ」も「デスノート」も漫画を読んでいたので、喜びはひとしおです。プロジェクトが終わったあと、一緒に仕事をしたスタッフさんに「一緒に仕事ができてよかったよ」と言ってもらえると頑張ったかいがあったなと感じます。ミーハーですが、社内で細田守監督をお見かけしたは、ひとりで興奮しましたね(笑)
阿部 やはりビッグタイトルに関われる喜びというのは大きいですね。DFで制作している作品の多くは知名度が高いので、周りの人から「作品観たよ」と反応があると嬉しいです。また、社員が働きやすい環境を整えるための福利厚生が充実しているのもDFの特徴です。無料で利用できるトレーニングジムや出張マッサージのほか、デッサン教室なども社員に喜ばれています。
学生 デジタル・フロンティアさんが求める人材を教えてください。
阿部 映像に対するこだわりがとても強い会社なので、CGや映像に対する情熱を持っている方を求めています。また、分業制をとっていますので、コミュニケーション能力は持っていてほしいです。相手の伝えたいことを正しく理解し、どう言えばうまく伝わるのかを考えてコミュニケーションを取れることが重要だと思います。あと、これは映像分野に限った話ではありませんが、新しい技術や情報はどんどん出てくるので、常にアンテナを立ててインプットを欠かさないことが大切です。社会人になっても好奇心を持って自分で学んでいける人が、デジタル・フロンティアには合うのかなと思います。
学生 CG業界でクリエイターが不足している職種や必要となるスキルは?
阿部 DFに限った話かもしれませんが、特にエフェクターとコンポジターは不足しがちです。アニメーターやモデラーは志望される方が多いのですが、それ以外の職種は、学ぶ機会が少ないこともあって目指す方が少ないのが現状です。大きな作品を効率よく制作するには、分業制が適しています。その中には、重要なシーンに視覚効果を付けて盛り上げるエフェクター、ライティングや素材を組み合わせて演出するコンポジター、キャラクターを動かすリグを組むリガー、デザイナーをサポートするテクニカルディレクターなど様々な職種の力が必要不可欠です。ぜひ学生のみなさんには、そういった職種についても興味を持っていただきたいと思います。必要なスキルに関しては、コレが無ければいけないというものはありませんが、可能な限りソフトウェアには触っておいてほしいです。もちろん入社してからでも使い方は覚えられますが、あらかじめ勉強している方と、入社してから始める方とではスタートに差が出ます。映像系のソフトは高額なので学生ではなかなか難しいかもしれませんが、アカデミック版や学校の力を借りることができると思います。目指している会社がどんなソフトを使っているのかをリサーチして、触れるものには触っておいたほうがいいと思います。
吉井 デザインイメージをもとに人物やモノなどを立体的に形作るモデラーを目指す場合には、アナトミー(解剖学)の知識があるといいですね。「筋肉や骨がどう付いているのか」「人体はどう動くのか」をきちんと勉強しておいたほうがいいです。アニメーターにも言えることですが、作りや仕組みそのものを理解していないと「リアルなモデリング」「自然な動き」を表現できません。普段から人やモノの構造を観察することが大事だと思います。
学生 ポートフォリオの審査をされるにあたり、特にどのようなところをご覧になっていますか?
阿部 DFでは、まず作品のクオリティが見られるポイントになります。作品点数よりは質を重視しているので、しっかり作り込んでいるのか、ちゃんと構造を理解しているのかといった点がよく見られると思います。学校の課題で作ったものをポートフォリオに入れてくる人もいますが、オリジナルで作ったもののほうが評価は高いです。というのも、同じ学校出身の人だと同じような課題の作品が出てくるので評価が難しいです。できれば、学校以外の時間にどれだけ作品に触っているのかをアピールしたほうが評価は高いと思います。オリジナルといっても、キャラクターやデザインをイチから考える必要はなく、既存のものでもどんな点をアレンジしたかが分かればいいと思います。また、ポートフォリオですが、モデラーの人も「デモリール(動画)」にしたほうがいいです。映像制作会社なので、紙に印刷して見せてもらうよりは、実際にモデルをターンテーブルで回したり、ポーズを付けてもらえると分かりやすいと思います。
学生 TECH.C.の強みは何だと思いますか?
吉井 卒業生として実感したのは、夢に向かう学生をしっかりサポートしてくれる学校だということです。私も、就職活動中はよく教務課に行きました。実はデジタル・フロンティアから内定が出たときに、もう一社内定をもらっていて悩んでいたのですが、先生たちは私の性格を踏まえて的確にアドバイスをくれました。もし、悩んだり迷ったりしていても、先生方がきっとやりたいことを実現できるように全力で導いてくれるはずです。
学生 TECH.C.に期待することはありますか?
阿部 クオリティの高い作品をどんどん作ってほしいですね。ポートフォリオ(作品集)で注目しているのもやはりクオリティです。よく「努力か才能か」なんて話がありますが、現場で活躍しているのは圧倒的に努力している人が多いです。どれだけ努力したかはポートフォリオを見ればはっきりと分かります。一生懸命勉強して、学んだことを自分なりに噛み砕いてよりクオリティの高い作品を作っていただけることを期待しています!