早くからクラウドに馴染んでもらうことで優秀な“未来のエンジニア”が
ますます活躍する世の中に

PCやスマートフォンなど多様なデバイスにおいて、快適なインターネット環境を助けるクラウドコンピューティング。その創始者「アマゾンウェブサービス(以下AWS)」は、2006年のサービス開始以降、分野を拡大しながら新たな取り組みに挑み続ける。教育分野を担う澤さんに、製品の特徴や目指すところを教えていただきました。

特別講師

エデュケーションプログラムマネージャー
澤 扶美

アマゾンウェブサービスで学生にクラウド技術を学んでもらうための教育プログラムとエドテック分野のスタートアップ支援プログラムを担当。大学院を卒業後、外資系のハイエンドコンピューターメーカの技術職、研究機関での技術職を経て現職。大学ではデータベースの研究に従事。

学生

  • 1年 プログラマー専攻 バラヒさん
  • 1年 プログラマー専攻 チョウさん
  • 1年 プログラマー専攻 チャンさん
  • 1年 スーパーITエンジニア専攻 井出さん
  • 1年 スーパーITエンジニア専攻 坂本さん
  • 1年 スーパーITエンジニア専攻 松本さん
  • 1年 スーパーITエンジニア専攻 川崎さん

お客さまの役に立つことを優先して最良のサービスを届けたい

学生

現在の仕事について教えてください。

私は教育プログラムのマネージャーとして、2つのプログラムをマネジメントしています。まずは「AWS Educate」という、14歳以上の学生や教員の方にクラウドをゼロから勉強してもらうための無料のプログラムです。現在、クラウド技術者の数は不足し、今後も足りなくなる予測がついています。若いうちからもっとクラウドに触れてもらうことによって、技術者を増やしたいというのが私たちの思いです。私はそのプログラムを日本で広めるための仕事をしています。もうひとつは、技術によって新たな教育改革を目指す「EdTech(エドテック)」企業を対象にしたものです。創立して5年くらいの会社が、早く成長できるよう支援するプログラムを担当しています

学生

AWSの社風や会社の雰囲気を教えてください。

いつどこで仕事をしてもいい、というと自由のように思われるかもしれませんが、各自やるべきことが明確なので、それを実現できる最適な時間と場所を“自分で”探すスタイルです。自由と同時に責任がセットで提供されるので、比較的新しい働き方ができると思います。また他人と協力するモチベーションが非常に高い会社。何か困っていることがある時は誰かが助けてくれますし、私も困った人に遭遇すれば力になりたいという気持ちになります。そのような意味ではとても働きやすい環境です。

学生

AWSが目指しているところについて教えてください。

たくさんいるお客さまそれぞれの希望に対して、少しでもいいサービスを提供することが第一です。私はこの仕事を通じて、若い人たちの役に立ちたい。同時に、私たちのカスタマー企業で働く優秀なエンジニアを増やすことによって、結果的に企業にも貢献したいと考えています。役割はさまざまですが、社員が共通して目指しているのは“お客さまの役に立つこと”です。

誰でも気軽に使えて自分のペースで学べる環境を提供

学生

AWS Educateでは、具体的にどのようなことができますか。

実際にAWSのコンソールを使うことができます。自分のクレジットカードを登録しなくてもいいので、本当に簡単にクラウドに触れることができます。さらに無料でアクセスできるオンラインラーニングがあり、自分のペースで勉強することが可能です。一連の流れが体験でき、ひとりで進めながら技術を習得できるように作られています。いつでも誰でも気軽に始められる点が最大の特徴です。

学生

AWSはAI・IT・ロボット・ゲームの分野でどのように活用されていますか。

これらの分野では非常に使われています。例えばゲーム業界では、リリース当初やイベント時に利用者が増えて、その後落ち着く。ピークの波が大きい使われ方をします。クラウドは増やしたり減らしたりが自由に調整できるので、ゲームは非常にマッチしているといえます。このように利用状況に合わせてスケールを変えることができるのも、クラウドの特徴のひとつですね。

学生

AWSを使用する時に気をつけるべき点は何でしょうか。

クラウドはとても便利で、使いたい時にクリックすれば簡単に利用できます。水道の使い方と同じようなものだと考えてください。水を使ったら蛇口を閉める。必要になったら立ち上げて、使い終わったら必ず止めることが非常に大切です。

学生

Webサービスの開発に必要な考え方、また気をつけていることはありますか。

私自身はWebサービスを作ったことはありませんが、やはり弊社の考えに基づくと「見る側の立場になること」が大事だと思います。いくらデザインがかっこいいサイトでも、必要な情報になかなかたどり着けなければどうでしょう?使う側の目的は何か、ユーザーによりいい体験をしてもらうために必要なものは何か……そのような点をしっかり見据えて考えるマインドや習慣は欠かせないと思います。私自身も、自分のやりたいことに対して、それが本当にお客さまのためになるのかを一度落ち着いて考えるよう心がけています。

内容を理解した上で
どう学生にわかりやすく伝えるか

学生

サービスを作るにあたって一番大変だったことや課題だったところは?

私自身はサービス立ち上げの時期には入社していませんでしたが、昨年、AWS Educateにある「キャリアパスウェイ」という、職業に紐付いたクラウド学習コースの日本語化プロジェクトに携わりました。その時は英語の教材を日本語に変換することのむずかしさを痛感しましたね。もちろんプロの翻訳家が訳してくれるのですが、その方が内容を熟知しているわけではないので、細かい部分はどうしても手作業で直さなければならない…。どうすれば学生さんがわかりやすいかを一生懸命考えながらひとつずつ修正しました。ぜひ見てみてください。

学生

AWSのサービスの中でこれは使うべきものはありますか?

たくさんあるのですが、みんなそれぞれ「推しサービス」がありますね(笑)。私は「EC2」推し。なぜかというと自分が最初に名前を知ったサービスだったからです。EC2はご存知でしょうか? 正式名称は「ECC(Elastic Compute Cloud)」、いわゆる仮想サーバです。計算をしたり、サーバに上げたり、AWSクラウドでサイズが変更可能なコンピューティングキャパシティを提供しています。現在は他にもさまざまなサービスがありますが、私にとっては原点のような存在です。勉強を始めたみなさんにも、最初に触っていただくものかもしれません。

クラウドというツールを上手に活用して
より効率よくやりたい分野を成長させてほしい

学生

AIの時代において今後のWebサービスの動向をどう考えますか?

今は「自分が」何らかのアクションをすると、それに対して何かが起こる。例えば、Webで検索すると答えが見つかります。今後、AIと融合するとなれば、こちらが働きかける前に教えてくれたり、誘導してくれたりといったことができるようになるかもしれません。現在でも近いものはあると思うのですが、より自動化されていくのかなと思いますね。

学生

今後のテクノロジーの発展とクラウド業界がどのように変化していくか教えてください

私の仕事の範疇に限ってお話すると、技術者が足りなくなっていくのは日本だけではなく、アジアを始め、世界中の問題です。そのため、私の目標としては一人でも多くの人に早いうちにクラウドに触れてもらい、将来のキャリアに活かしていただくこと。なかにはクラウドの技術者になる人もいるかもしれませんが、何かを行う上でクラウドを活用することが多いと思います。クラウドを使うことで、コストが抑えられたり、早く達成できたり、何らかのメリットがあるはずですので、ぜひこれからみなさんがチャレンジされることに活用してほしい。結果的に、ITに限らずどんな職種においても、できることのスケールが大きくなったり、コストが下げられたり、クオリティが上げられたり…そのようなことに役に立てていただきたい。クラウドはツールです。上手に活用すれば、より効率よく、他のことに時間やお金を割くことができるはずですので、自身のやりたいことや挑戦したい分野をどんどん成長させてほしいですね。

クラウドというツールを上手に活用して
より効率よくやりたい分野を成長させてほしい

学生

会社に入る前にもっと勉強や経験しておいたほうがよかったことはありますか?

まずは英語なのですが、もうひとつ、機械学習やAI技術関連のことを突き詰めるとたどり着くのが数学。実際に社会人になってから大学程度の数学を勉強し直している人もいますが、時間が必要なので結構大変です。この先、数学の知識不足によって壁にぶつかることがあるかもしれません。若いうちに少しでも最初のステップを1段上がっておくといいと思います。今は無料で学べるWebコンテンツもありますので、ぜひご自身でさまざまな教材を探して勉強してください。

学生

携わった仕事の中で、心に残っていることは何でしょうか?

基本的にクラウドのユーザは、ビジネスで使う方が多いのですが、私の仕事は学生さん向けです。職場でも、周りはビジネスで使う方を相手にする人ばかりだったので、最初は孤独な戦いでした。最近になって、同じように学生さんとつながる役割の人に出会い、どうすれば私たちのメッセージが伝わるのか、どうサポートすればよいのかなど、ディスカッションや相談、協力ができるようになりました。まだ多くはありませんが、学生さんの役に立てるような体制が作られつつあるというのが、最近のうれしかったことですね。

最新の情報を逃さないよう自ら動いて学ぶ習慣を!

学生

今後はどのような人材が必要とされるのでしょうか。

AWS並びにAmazonでは求める人材をHPで公開しています。これは 「Our Leadership Principle(OLP)」といって、14の信条に基づいたものです。まずは「Customer Obsession」、あくまでもお客さま起点であること。何よりもお客さまを中心に考えて仕事をしています。そして「Ownership」−−自分で責任をもってやり遂げることも大切です。また、いろんなことに興味を持って積極的に勉強する「Learn and Be Curious」、構想段階ではスケールを大きく考える「Think Big」といった考えが非常に重視されています。14個ありますが、中でもやはり最初の「Customer Obsession」が、このOLPの中では大事なポイントです。興味のある方は「AWS OLP」で検索してみてください。

学生

学生のうちに勉強しておくべきプログラミング言語は何でしょうか。

身につけておくべき“言語”は、ずばり英語です(笑)。世界中の言語や仕組みなど、ITの最新情報のほとんどは英語で出てきます。日本語化されるのはずいぶん後になってから。英語の文章や動画を理解できると、圧倒的に入手できる情報の数は多いですし、いち早く最新のものに触れることができます、一方で、自分から新しい発表をする機会も増えますので、時間に余裕がある間に英語の勉強をしてほしいです。より多くのプログラミング言語を勉 強できるキーポイントは、英語だと思ってください。

学生

今後、学生に求めるものや期待することは何でしょうか。

みなさんが社会人になってからも、多分新しい技術は今よりもっと早いスピードで出てきます。それに対応するためにも、学生時代に「自分で勉強するクセ」を身につけていただきたいです。特にITの技術は、働いている間 ずっと情報をキャッチアップしていかなければ仕事ができません。若いうちに、自分で何が必要かを決めて、自ら勉強する習慣を持っていただきたいです。またTECH.C.さんでは、実践的なことを学ぶチャンスがたくさんあると思います。積極的にクラウドに触れる時間を取ってください。AWSには「JAWS」と いったクラウド利用者のコミュニティがあります。ユーザー同士のコミュニケーションを通じて、ひとりでは学べないことも知ることができるのでぜひ活用してほしい。非常に動きが早い業界ですが、その”変化の世界“を楽しんでください!