30

ICTは大きく世界を変える可能性を
秘めた業界 ひとりでも多く
力を発揮してもらいたい
戦っていく相手はグローバル
他国の考えを学び、
負けない自分を作って

今や日常に欠かせないインターネット。30年以上前からその技術と向き合い、現在のネット環境のベースを築き上げてきたシスコシステムズ。東京2020オリンピック・パラリンピックではオフィシャルパートナーとして、ネットワーク環境の整備を担う。多岐にわたり事業を統括・管理する鈴木会長を訪ね、お話を伺う機会をいただきました。

特別講師

代表執行役員会長
鈴木 和洋

2018年9月より現職。現在、会長として、全体のビジネスマネージメントに加えて、中長期成長戦略、および東京2020オリンピック・パラリンピックプロジェクトを担当。また、経済同友会の地方創生委員副委員長、同友会2.0実践推進PTの委員として経済、経営に関わる提言活動に関わる

学生

  • 1年スーパーAIクリエイター専攻 齋藤さん
  • 1年スーパーAIクリエイター専攻 筒井さん
  • 1年スーパーAIクリエイター専攻 稲山さん
  • 1年スーパーAIクリエイター専攻 床井さん
  • 1年スーパーAIクリエイター専攻 クォンさん
  • 1年スーパーAIクリエイター専攻 松井さん
  • 1年スーパーITエンジニア専攻 山本さん
  • 1年プログラマー専攻 中村さん
  • 1年プログラマー専攻 金さん

インターネットの歴史とともに歩み続け経験を通じたノウハウを持っている

学生

御社はどのような会社なのでしょうか?

鈴木

シスコシステムズは1984年にシリコンバレーで創業して以来、スイッチやルーターなどの機器を中心に成長してきた会社です。製品のポートフォリオ(一覧)を増やし、なかでもビデオ会議やWEB会議、ビジネス SNS、IPフォンなどのコラボレーションテクノロジーによる製品や、データセンターに入るサーバ、スイッチなどを開発してきました。最近では、サイバーセキュリティ関係のソフトウェアや製品などのラインナップを拡充しています。

学生

他にはないシスコの強みがあれば教えてください。

鈴木

ネットワークの世界で最も長い実績を持っていることです。現在、インターネットは当たり前に使われていますが、20年前はそうではありませんでした。IPネットワークは「ベストエフォート型」、最善を尽くすがそれ以上は保証できないもの。一瞬の切断も許されないネットワークが基本だった当時、企業で使う重要なアプリケーションには向か ないと思われていました。そのような情況の中で、パートナー企業やお客さまと一緒にIP ネットワークの高度化に取り組み続けてきた。結果、いまや企業にとどまらず社会インフラの一部として使われています。インターネットの歴史とともに歩み、その経験を通じた独自のノウハウを持っていることが、他の企業と違う大きな強みです。

学生

2020年の東京オリンピックにはどのように関わっているのでしょうか?

鈴木

東京オリンピックのオフィシャルパートナーとして、スタジアムや選手村、データセンター、メディアセンターなどオリンピックに関わる施設のネットワークのデザイン、設計、構築、運用を担当しています。なぜオリンピックでネットワークが重要かというと、オリンピックは記録会だからです。予選から決勝まですべての記録を取り“確実に“データベースに保管することが何よりも大切なこと。データが消えたり、ハッカーの介入で改ざんされたりすることがないよう、セキュリティに強く、安定した特別なネットワークを構築しています。

役職にかかわらず意見が言いやすいとても風通しのいい環境です

学生

会長はどのようなお仕事をされているのでしょうか?

鈴木

シスコシステムズの会長としては、会社全体の統括・管理がひとつの仕事です。それとは別に、個人的に会社の中長期の成長戦略を立てています。また、弊社は2020年東京オリンピック・パラリンピックのスポンサーをしていますので、そのプロジェクトを直接担っています。

学生

御社の理念、社風や雰囲気などを教えてください。

鈴木

社風は「オープンコミュニケーション」。非常に風通しのいい会社だと思います。現場もトップも関係なく、基本的には社内では何でも言いたいことが言える雰囲気です。もしかしたらそう思っているのは私だけかもしれないですが…(笑)。会長でも社長でも部長でも、もちろん一般の社員であっても同じ目線でちゃんと話ができる会社だと思いますよ。

新しい意見も排除しない
多様性によってイノベーションは生まれる

学生

御社は日本でも早い段階から「働き方改革」に着手していると聞きました。きっかけや具体的な取り組みを教えてください。

鈴木

よく知っていますね! 働き方改革については10年以上前から取り組んでいます。もともと弊社はダイバーシティ(多様性)を大切にしています。国や性別を超えて、さまざまな人がどこででも自由に働ける世界。そこからイノベーション(技術革新)を生み出すという信念のもとでやってきています。そうなるとやはり働き方を変えなくてはいけない、そこが原点です。具体的には、会社にいなくても、自宅やカフェ、空港などどこからでも仕事ができるような環境を提供しています。社内もフリーアドレスで、誰がどこに座ってもいい。毎日、決まった時間に会社に来て、決まった場所に座って、同じ人としか会わない状況で、イノベーションを起こすのは難しい。これまでにない斬新な意見を排除せず、さまざまな人と意見を戦わせることで新しい発想は生まれると思います。真剣に話し合う環境を作っていくことが、会社の成長にもつながると信じている会社です。

学生

資金が少ない企業でも、ツールを導入せずに働き方改革は可能でしょうか?

鈴木

ツールはさほど問題ではなく、企業が持つ文化が重要になってきます。「イノベーションを起こしやすい環境を作りたい」と思える会社でなければ、いかに立派な道具があっても定着しません。やはり企業自身が理念をしっかり持っていることが重要ですね。ツールはその次の段階。最近のツールは、画期的に安くて性能も向上していますし、クラウドも広まり、クラウド経由でどこにいても誰とでもつながれる。必ずしも高価な専用機器は必要でなく、スマホやタブレットなどでも充分に働き方改革はできる状況です。

学生

御社では、社員の成果と過程のどちらを評価しますか?

鈴木

基本的には両方ですね。当然ながら社会人として結果責任がありますので、結果に対する評価はある。一方、プロセスでは、周りにどれだけいい影響やポジティブなインパクトを与えたかを見ています。結果的には失敗に終わった案件でも、取り組みが革新的であれば、将来的に大きなものにつながるものとして評価します。

簡単にさまざまなものがつながる世界で
セキュリティ管理はより重要になる

学生

AIを使ったサイバーセキュリティをどのように考えていますか?

鈴木

すでに一部AI(人工知能)を活用した自社の製品はあります。弊社はネットワークのスペシャリストです。ウイルスやマルウェアが通るネットワークを、センサーとして活用し、「怪しい」と検知されたデータをAIによって分析して、いち早く発見する仕組みを作っています。しかし、セキュリティの種類は膨大。今、最大の問題は「これだけで大丈夫」といった、ひとつで完結できる製品がないことです。ユーザに負担がかからない、わかりやすいセキュリティの製品やサービスを提供したいと考えています。

学生

ICT技術は今後どのように進化していくのでしょうか。

鈴木

日本は非常に平和な国です。これまでに大きな攻撃を受けたこともないので、セキュリティに対する意識や理解は低いと言われていますし、私自身もその通りだと思います。「サイバーセキュリティ」という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのようなリスクがあるかは知らない。そのような人たちに「なぜサイバーセキュリティが問題なのか」を正しく理解してもらうことが出発点でしょう。

学生

セキュリティ分野で注目している分野があれば教えてください。

鈴木

監視カメラやWi-Fiアクセスポイントなどはもちろん、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)によってさまざまなものがインターネットにつながる世の中。つながりが多い分、セキュリティのリスクも増すので、IoTに対するするセキュリティは大きなビジネス分野になるかもしれません。

古きを知って新しくを知る
初心者でもチャンスは充分にあります

学生

これまでパソコンを触ったことがなく得意ではありません。御社のCCNA(Cisco Certified Network Associate)で勉強したいと思っているのですが、サイバーセキュリティの仕事を目指す上で、学ぶことは何でしょうか?

鈴木

サイバーセキュリティの仕事に就きたいのであれば、まずは一般的なITの知識は必要になるでしょう。それをベースに、セキュリティコースのカリキュラムを受けていただくといいと思います。世の中にはいろんなセキュリティ製品があるので、製品そのものについては、さほど勉強しなくてもいいかもしれません。どのようなカテゴリのセキュリティがあり、それぞれがどんな役割を果たしているのかを学ぶといいと思います。

学生

学校に入ってから、コンピューターについての本を片っ端から読みながら勉強したりOSを作ったりしているのですが…。

鈴木

それは非常に価値があることだと思います。実際、作動原理を知らなくてもプログラミングはできるんですね。私も会社に入ってから学びました。今は必要ないと思うかもしれませんが、コンピューターは何でできていてどう動いているのか…コンピューターの歴史を学ぶことも、今を知る上で価値のあることだと思います。温故知新、昔を知ることで見えてくることもあるのではないでしょうか。

多くの可能性を秘めたICT業界情熱を持ってムーブメントを起こしてほしい

学生

将来的に日本のIT人材は増え、競争率も高くなるのでしょうか?

鈴木

IT業界はとても広いので全体として見れば働く人はたくさんいます。ただし「本当に必要な人材がいるべき場所にいるか」は別の話です。みなさんにはぜひとも必要とされる人材になっていただきたい。そのためにも何か得意技を身につけることは大切ですね。

学生

採用時に最も重要視する点はどこですか?

鈴木

中途採用の場合は即戦力ですが、新卒の方では将来性を見ています。しかし、実際のところ1〜2時間の面接ですべてはわかりません。私が学生の方とお会いして見る最大のポイントはパッション。採用した時点での能力は数年でぐっと変わりますが、それも仕 事に対する情熱の違いです。今、メジャーリーガーの大谷翔平選手はアメリカの大リーグのシステムを変えようとしている。すでに確立されたルールや常識を、若い人が破るようなことがICT業界でもあっていいと思います。

学生

TECH.C.に期待すること、業界を目指す学生にメッセージをお願いします。

鈴木

TECH.C.さんではさまざまな国の学生さんと学ぶ機会があるので、積極的に交流してください。若い人たちを見ていて、海外の方との違いを感じるのはアグレッシブさ。外国人はしっかり自分の意思をアピールします。今後、みなさんが競争する相手は、日本人だけでなく、そのようなグローバルな人たちです。控えめに謙遜ばかりしていては勝てません。たくさんの国の人と交流して異国の考え方を学びながら、それにも負けない自分を作ることを心がけてください。また、私の切なる願いとして、一人でも多くの方にICT業界を目指してほしいです。会社に就職するだけではなく、学生時代に起業したりスタートアップに身を投じてみたり、さまざまなチャンスがある。GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)を始め、海外では多くの人が学生時代に起業し、大きなイノベーション(革命)を起こしています。ICTは、世界を大きく変える可能性のある業界。ぜひみなさんには力を発揮して、ICT業界で何らかの大きなムーブメントを作ってほしいです。