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時代の最先端でさまざまな技術に
触れられるみなさんの強みを生かし、
業界を盛り上げてほしい

海外にも多くのファンを持つ、日本を代表するゲーム会社のひとつセガゲームス。コンシューマーからオンラインまで、さまざまな形でユーザーに感動体験を提供する。同社の代表作『PHANTASY STAR ONLINE 2』(以下『PSO2』)に関わるプランナー、プログラマー、デザイナーに、仕事の取り組みについて教えていただきました。

特別講師

第3開発1部 第2企画セクション
熊谷 智樹

『PSO2』のリリース直前ごろにチームに参加し、現在はプランリーダーとして企画全体の進行管理を主に担当。

第3開発1部 テクニカルサポートセクション
増田 亮

入社11年目。『PSO2』システム班プログラマー。サウンド、ツールサポート、クラウド版移植などを兼任

第3開発1部 第1デザインセクション
麻生 隆成

入社4年目。エフェクトデザイナー。「エピソード4」後半から『PSO2』に参加し、エネミーアクションや武器、ロビーアクションなどのエフェクトを中心に担当。

学生

  • 2年 スーパーゲームクリエイター専攻 榎本さん
  • 2年 スーパーゲームクリエイター専攻 宮崎さん
  • 2年 ゲームキャラクターデザイン専攻 リョウさん
  • 2年 ゲームプログラマー専攻 オウさん
  • 1年 スーパーゲームクリエイター専攻 二瓶さん
  • 1年 スーパーゲームクリエイター専攻 熊澤さん
  • 1年 スーパーゲームクリエイター専攻 瀧澤さん
  • 1年 スーパーゲームクリエイター専攻 遠藤さん

笑顔と感動を生み出すため真摯にゲーム制作に取り組み続ける

学生

御社の理念や社風について教えてください。

熊谷

会社全体として目指しているのは「感動体験を創造し続けること」です。時間や空間を含めた“楽しい場”を通じて、笑顔と感動を創造し、社会に貢献することが弊社のミッションとしてあります。クオリティを最優先にする会社で、従業員も高いモチベーションをもって真剣にゲームを作っている現場だと感じています。

学生

どのような仕事をされているか教えてください。

麻生

私が担当しているのは『PSO2』のエフェクトです。プレイヤーの動きに合わせたエフェクトを始め、武器をかっこよく見せるものや敵キャラの攻撃範囲を示すものまで、幅広い部分のエフェクトを担当し、ゲーム全体に関わっています。基本的には、プランナーさんから受けたオーダーに合わせて作りますが、そこに自分で創造したものを加え、工夫しながら取り組んでいます。

増田

『PSO2』では主に3つの仕事をしています。1つは、SE(効果音)やBGMを鳴らすサウンドプログラマー。『PSO2』の特徴のひとつでもあるシームレス(違和感のない)なサウンドを心がけ、ゲーム内の状況に応じてスムーズにBGMを切り替えています。2つ目がシステム回りのプログラマーです。主にプラットフォーム移植で、クラウド版が出た際には、Nintendo SwitchとPC版のメインプログラマーとしてプロジェクト全体を管理していまし た。3つ目がツールのサポートで、ゲーム内のUI(ユーザーインターフェイス)を作るためのツールなどによって、プロジェクトの開発効率を上げています。

熊谷

『PSO2』のプロジェクトのプランリーダーとして、今後の『PSO2』の配信内容を考え、ディレクターと相談を重ね、概要の決裁を受けて仕様の作成、実装確認と、企画としての一連の進行管理業務を担っています。期間内に仕上がるよう、他部署と連携を取ったりサポートしながら、完成まで企画全体の進捗を管理する仕事です。

ひらめきのヒントは自分なりの理解。AIがゲームに与える影響、いいキャラクターとは?

学生

新しい企画やアイデアを思いつくためにしていることはありますか?

熊谷

私が教えてほしいくらいですね(笑)。あえて言うなら、多種多様な「楽しい」を感じる体験と、「それがなぜ楽しいのか」を自分なりに考えることだと思います。自分は思わなくてもみんなが楽しいと感じていること。どのような要素で構成され、どこが評価されているのかを、情報として取り入れて理解することです。Twitterなどインターネット上の意見などを参考にした上で自分の考えがあれば、今後アイデアを求められた際の引出しになるかもしれません。

学生

AIの技術によってゲーム開発に影響はあると思いますか?

増田

最近のゲームでは、ユーザーの行動に合わせて敵が強くなるなど、ゲームバランスが自動調整されることが一般的にありますよね。今後、AIが重要になると言われているのは「ゲームの外」、例えば開発環境。新しくイベントを考える際にTwitterなどから反応や情報を解析して、ユーザーが求めていることをAI側から提案してくれるシステムが出てくるかもしれません。仕様書を書く場面でも、予測変換機能のようなものによってエネミーの名前を1文字入れると候補を出してくれるなど、AIの利点を活かせば、開発環境を含めゲーム全体が豊かになっていくのかなと考えています。

学生

いいキャラクターの定義を教えてください。

麻生

私自身はエフェクトなので、直接的にキャラクターをデザインしたことはありませんが、デザイナーと話していてよく聞くのは、まず「特徴のあるシルエット」。影を見ただけで姿が頭に姿が浮かぶものです。また、小さい子が真似したり、絵に書きやすかったりする特徴もキャラクターの魅力のひとつになると思います

当たり前のことにも「なぜ」を考えれば次の提案への材料にもなる

学生

チーム内でのコミュニケーションで気をつけていること、他と意見が合わなかった場合にはどのように決定するのでしょうか。

熊谷

結論から言うと、チーム内で意見が割れた際には、チームの決裁者であるディレクターに確認を取ります。学生さんの場合、企画を立案した人、もしくはゲームを一番理解している人が上に立って、目指す方向や選ぶ理由をみんなで話せるといいかもしれませんね。プランリーダーとしては、メンバーに「コンセプトを常に伝えて浸透させること」が何よりも大切。全員が作品のコンセプトを楽しいと確信を持ち、理解することが重要だと考えています。作ろうとしているものをおもしろいと思えない状態では、個々の能力が最大限に引き出せません。彼らが悩んだときに説得できる要素を、常に自分自身の中で考え、それを伝えて理解してもらうことが大切です。

学生

プログラマーを目指す上で心がけること、またプログラミングをする際に注意していることはなんでしょうか?

増田

まず、心がけることしては「なぜそうなのか」を常に調べる習慣をつけること。例えば、使っているツールにも何らかの理由が必ずあるはずです。そのような点に気づき「なぜ」を考えていれば、今後ツール変更を検討する際に提案できるようになるでしょう。私が最も気をつけているのは、誰が見てもすぐに読めるプログラムです。チームで作り上げていくものなので、自分以外の人でも触れるような設計が大切。それがメンテナンスのしやすさを上げ、結果としてチーム全体のメリットになると考えています。

学生

オンラインとオフラインプレイでデザインに違いはありますか。

麻生

いずれもデザイナーとして作るものはクオリティ高く細かく仕上げたい気持ちは変わりません。ただし、オンラインゲームは複数の人で遊ぶものなので、エフェクトの負荷などを考慮する必要があります。作ったものが同時に最大どのくらいの人に使われるのか。将来的にどんな使われ方で、どのようなシチュエーションで再生されるかを常に意識して作っています。与えられた環境の中で表現できることを考えながらデザインすることも必要です。

弱点にとらわれて諦めず自分の強みを
打ち出す手段を見つければいい

学生

学生時代に「この業界は向いていないかも」と悩んだことはありますか?

熊谷

私はないですね。というのも、向いているかどうかではなく、最初から周りに何を言われようが「自分がしたいこと」が明確にあった。だからといって、最初から完璧にできたわけではもちろんありません。壁にぶつかることもありましたが、そのたびに先生や友人に助けられながら乗り越えてきました。決して私は素質がある方ではなかったと思いますが、働きながらも学ぶことはできますので諦めずに頑張ってください。

増田

プログラマーとして恥ずかしい話ですが、学生時代から物理数学が苦手で…。ゲーム業界でプログラマーをするにあたって物理は必至だと言われていたので、正直不安はありました。それでも、プログラミングやゲームを作ることが大好きで、ゲーム業界で働きたい思いが捨てきれず目指した結果、今に至っています。苦手とはいえ、必要であればそのたびに時間をかけて学べばなんとかなります。本当に高度なものに関しては得意な人に任せ、その分、自分は強みを活かした役割を担えばいいんです。私の場合、コツコツ積み重ねることや人と折衝することが苦手ではなかったので、テクニカルサポートという立場で今は「これでいいんだ」と自信を持って言えますね。

麻生

私は悩みました。昔から好きで、ゲームを作りたい夢は持っていたのですが、学生時代に学んだデザイン分野がゲームと結びつかないのではないかと。しかし、就職活動をしながら調べるうちに、自分がゲーム業界で働く姿を想像できるようになりました。デザインといってもゲームにおける役割はさまざま。キャラクターのほか、UI、エフェクトデザイン、モーションデザイン、モデリングのデザインなど。探るうちに自分に向いているのは何か、少しずつ具体的に考えることができたので、最終的に迷いはありませんでしたね。

学生

新しい企画をプレゼンする際に一番大事にしていることは何でしょうか?

熊谷

「これは楽しい!」と思ってもらうことです。「絶対楽しいよね? ほら、楽しいじゃん」と、間接的に言い続ける。全体を通じて楽しそうに感じてもらえることが大事かなと思います。ただ今のところ成功していないのですが…(笑)

増田

企画系ではないのですが、CEDECでの発表などプレゼンする機会は結構あります。そこで重要だと感じたのは練習。アドリブが思い通りにいかないこともあるので、身近な人に聞いてもらうなど、繰り返し練習を重ねた自信は現場でも活きると思います。

熊谷

人によりますよね。私は練習しないタイプ。その通りにしなくては、と考えが先に出て、逆にうまくいかないこともあるんです。特性次第なので、見極めるためにも今のうちに練習しておくといいと思います。

増田

自分のタイプを見定めることは大切です。

学生時代の経験は必ず役に立つ立ち止まらずに進んでほしい

学生

ゲームでの新しいことってどんなことだと思いますか?

増田

完全に新しいものは別として、既存でも「今までの流れの中にはなかった」ものが出てきたときに新しさを感じると思います。例えば「パズドラ」。もともとパズルゲームはありましたが、スマホでできることが新しかった。「Pokemon GO」は、ゲームは画面に向かってするものという概念を変えましたよね。完全に新しいものだけにこだわるのではなく、今 何が流行っているのかを見据えた上で、その流れに何かを加えると新しくなるのかなと個人的には思います。

麻生

新しいとは感動だと思います。見たことない景色や技術の進化で実現できた新しい仕掛けなど、見れば感動に繋がりますし、逆に感動できるものが新しい。エフェクトを作る際に、過去作のものを参考にすることもありますがそのままでは感動には至りません。今だからこそできる技術などによって、表現をプラスして初めて感動され、新しさを感じてもらえると思います。

学生

業界を目指す学生にメッセージをお願いします。

熊谷

ゲーム業界は、きつい側面もありますが間違いなく楽しい場です。最近では、限られた時間で効率を高めることが重要となっています。その点ではみなさんが学校で取り組んでいるチーム制作 は、業界に入るための訓練としては最適です。さまざまな環境の中で頑張っている今の経験は必ず役に立つはずですので、本気で取り組んでいただきたい。素質や技術はこれから身につきます。立ち止まらなければなんとかなります!

増田

今11年目に入り、苦しいこともありますが、つまらないと思ったことはほとんどありません。自信を持って楽しいと言えますね。この業界に入るにあたって、みなさんには「時代の最先端にいる」という大きな強みを持っています。ユーザー目線に一番近い場所で、たくさんの技術に自由に触れる時間がある。そのような方が入ってきてくれるときっと業界全体が活性化すると思うので、興味があればぜひ目指してください。

麻生

自分ひとりでは考えられないほど多くの人に、今は作ったものを届けることができています。最近ではSNSなどを通じてユーザーの生の声を身近に感じることもあり、非常にやりがいのある仕事だと思います。学生のうちに勉強をしながら、趣味にも積極的に挑戦し、体験していただきたい。そこで得たアイデアの引出しは、社会でもきっと活かせるはずです。