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アジアバーチャルヒューマン協会クリストファーさんが来校!

アジアバーチャルヒューマン協会クリストファーさんが来校!

先日、本校学生が取り組んだ「48Hバーチャルプロダクションコンテスト」を主催しているアジアバーチャルヒューマン協会※1
理事のChristopher Chenさん(以下、クリストファーさん )らが来校されました。

まず初めに、本校CG教育顧問 安藤 誉先生と世界のバーチャルプロダクションの現場の現状、日本CG・映像教育と世界のCG・映像教育の現状について意見交換会を行い、今回コンテストに参加した学生との対談の場を頂きました。

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学生:
アジアバーチャルヒューマン協会ではどのような活動をされていますか?

クリストファーさん:
バーチャルプロダクション業界は現在人材不足が大きな問題です。業界で働いている既存のクリエイターはまだバーチャルプロダクションの完全なプロセスを理解していません。だからこそ今、CGや映像を専門的に学んでいる学生たちにバーチャルプロダクションのプロセスを学んで業界に就職してほしいと願っています。このような内容はワールドワイドに多くの学校に発信しないといけないと考えました。

そのための活動として、まず一つ目はコンテストの実施です。
コンテストはTECH.C.さんが今回参加された「48Hバーチャルプロダクションコンテスト」となります。

2つ目はバーチャルプロダクションのワークショップを行っています。
私たちは今年、高雄、台北、上海、北京、四ヶ所で、12時間ワークショップを行いました。
まず1分間のスクリプトをプロジェクトファイルベースに描き、それを残りの時間で映像を作るというものです。ワークショップはバーチャルプロダクションのプロセスを学び、自信のつけてコンテストに出てほしいと思い開催しています。次回、1度は東京でも12時間ワークショップを開催しようと思っております。

学生:
ぜひワークショップに参加してみたいです。
ちなみに現在、バーチャルプロダクション技術は現場でどのくらい使用されていますか?

クリストファーさん:
 今、世界中で新しいバーチャルプロダクションのスタジオは建てられています。最先端の技術を使いたいという業界の流れは強いです。現場は常に忙しいので、次々入ってくる仕事も新しい技術を使ってどんどん追及して使用していっています。

学生:
そうなんですね、新しい技術はとても興味があります。
クリストファーさんは、ワールドワイドで使用されているバーチャルプロダクションは今後、業界をどのように変えていくと期待されていますか?

クリストファーさん:
 映画以外では新しい技術の応用としてどんどん取組んでいくかと思います。(長期的にかつ、個人的な見解かもしれないですが)既存のビデオプロダクションはすべてバーチャルプロダクションになるのは 時間の問題ではないかと思います。

私の会社(Zukunft Works)は最近台北で漫画展示会に出展しました。普通の漫画のコンテンツを来場者に見せるときはプロジェクターで映すだけで作品と来場者を引き合わせないんです。そのため、今回私たちが行ったことはL E Dパネルを三つ使い、コンテンツを後ろに流し、来場者はその前に立ってコンテンツの内容と一緒に動く空間を作りました。そのあとに、その動く内容をビデオカットして、来場者の人に渡すことでイントロダクションとしたんです。3日間で10万人来てくれたんですが、全部で800本のビデオを渡しました。
このような作業をする場合手作業はダメ、コーディングが必要になるんですよね。 だから、少し質問とはずれてしまうかもしれないけれど、これからの人材はアートだけじゃなくて、やっぱりコーディングできるようになる必要がありますね。現場では自分がコーディングをしなくても、理解しておくことでエンジニアにこれが欲しい内容だということが伝えられます。テクノロジーとアート(デザイン)が解る。  テクニカルアーティストがこれから必要になってきますね。

学生:
コーディングの大切さは今回のコンテストを通してとても大切だと感じました。
そんな私たちは参加した、今回の「第1回世界バーチャルプロダクションコンテスト」について教えていただけますか?

クリストファーさん:
 去年の8月に計画をスタートした時は、誰も参加しないんじゃないかなんて心配が最初にありました。 メッセージはインターネットで発信して、各学校にこれまで実施している内容をシェアしてもらいプロモーションビデオにさせてもらいました。結果として、参加学校数は全部で56校(日本、台湾、中国、マレーシア、タイ、ドイツ、イギリスとアメリカ)ですね。ただし完成したのは46個です。
「48時間でバーチャルプロダクションを完成させる」ってみんなできるわけでもないんですよ!

短期間制作するときにはやっぱりチームワークが大事ですね。

チームワークがないとそれは学びではなくただの遊びになってしまいます。48時間以内で完成品を出すのは業界と同じレベルのことをしているんです。学生のうちにそれを体験して、これからこういう世界で働いていくという心の準備としても大切です。
また、このコンテストを実施するもう一つの理由としては、私たちの業界では新しい社員を募集するときに1時間の面接でこの人がどれだけできるかなんてわかりません。ただもしその学生さんが48時間でつくった素敵な作品があるならそれは何時間もかけてその人から話を聞くよりとても技術が伝わります。実際に6年前におこなったアニメーションの48時間コンテストに参加した学生の一人がある有名な日本のスタジオに内定しました。その社長さんに会った時に「なぜ内定をだしたのか?」と質問したときに、「非常に単純ですよ!コンテストに参加して作品を作ったということは面接より質がいいからです。」と。
だから学生のうちにたくさんのことにチャレンジすることはとてもいいことですよ。

学生:
ありがとうございます。ちなみに今回私たちも参加させていただき作品を作ったのですが、
作品について感想をいただけますか?

クリストファーさん:
賞にも入っていて、良いところはたくさんあると思います。限られた機材の中で、あの作品を作ったのは素晴らしいですね。一つあるとしたら、やっぱりストーリーがまだまだフラットな部分があるのでそこをもう少し詰められたかもしれないですね。
これはやっぱりストーリーボードを書きました?

学生:
書いたんですが、結構、ストーリーを考えることに時間を取られてしまい、48時間しかない中で、3人で分担してストーリー考えつつ進めながらも最後のホタルのシーンのアセットを先に組まないといけなかった為ばたばたしてしまって、少しストーリーを詰める時間が足りなかったと思っています。

クリストファーさん:
なるほどね。例えばピクサーのストーリービューダーの時間は2年~3年ぐらいかかるんですよ。つまり一つのコンテストでは、このコンテストへ向けて素晴らしいストーリーつくるのではなくて、 素晴らしいストーリーの第一歩を目的として、プリビジュアライゼーションつくることなんですね。プリビジュアライゼーションというのは、映画を作る前に簡単にアニメーションで一回作ってしまうということです。今回作ってくれた作品も、そのピッチベースの一周だと思うんです。だからコンテストが終わってストップではなくて、みんなクラスメイト同士このストーリーはこれからどういう風に良くすることができるかというものをこれからどんどん取り組んでいった方がいいですよ、今回のコンテストをエンディングポイントではなくスターティングポイントにぜひしてみてください。

学生:
ここからがスタートということですね、頑張ります!

クリストファーさん:
今回、56チームある中で10チームが作品を完成できなかったんです。イギリスのある学校の先生に聞いたら、チームで喧嘩したとか…
今同級生はみんな友達という立ち位置ですけれども、会社に入ったら違う立場・国籍・バックボーンがある人達と働かなければならないし、変なコーディンエンジニアがいるかもしれない(笑) 特にバーチャルプロダクションは世界を渡り歩ける技術ですから、これからもCG・映像業界に進むのであればプロフィールが違う人と一緒に仕事する意識と自分の立ち振る舞いは大切ですね。
だからこそ、「作り切った」ということ自体が、とても素晴らしいことなんですよ!

学生:
ありがとうございます。
学生時代に学んでおくべき技術と知識は何でしょうか?

クリストファーさん:
ぜひ、学生のうちに本をよく読んで勉強してほしいと思っています。 なぜかと言いますと。 スマホでの流し見って本当にそのコンテンツ見ていますか?という疑問があります。
やっぱり、たまにはちょっとスローダウンして、本で勉強して自分の頭を動かした方が絶対いいなと思います。スマホは調べたことしか知識を得ることが出来ないですが、本は本の中の情報や、本屋に行って探すことで偶然の出会いなどもありますから。

学生:
確かにスマホで見ることが癖になっているので、本を読むように心がけてみます。
次の質問として、学生たちがより手軽にバーチャルプロダクション技術を使って映像を制作する方法は何かありますか?

クリストファーさん:
より良くするには新しいソフトを開発する必要があるんです。例えば、去年の台湾選挙の時、朝から8時に投票スタートして4時に終わり9時までの一日で結果を出すのですが、その時の各地域の情報は今までは2Dグラフィックだったんですね。それを我々はUnreal Engineを使って、JSONファイルのデータ方式で、Unreal Engineに送ってリアルタイムで3Dグラフィックしてみたんです。

ぜひ他の人にも使ってほしいなという思いがあって、”CamVerse Studio”というソフトを開発しました。やっぱりこれからの世界は、すべてのビデオプロダクションはバーチャルプロダクションになっていきます。 その時に簡単に誰でも使えるツールがないといけないなと思っています。

学生:
ありがとうございます。最後に、この業界を目指す学生たちにメッセージをお願いします。

クリストファーさん:
 そうですね。一つ言っておきたいことは、例えば世界の共通語はみんな英語と言うかと思います。それと同じで我々の業界ではそれはバーチャルプロダクションなんです。
今、日本でも中国でも、東南アジアでも、どこでもみんな同じことについて話しているんですね。アセットはどうする?とか カメラのトラッキングは?ライティングは?とか。このことを勉強していたら社会に出て、海外でも仕事がすぐできるんじゃないかなと思います。環境同じですからね。 ただ、やっぱり言語のコミュニケーションは英語でやるので少し勉強しておく必要はあります。それができたら、バーチャルプロダクションをできる学生さんはこれからの未来、ワールドワイドな会社で仕事できると思います。このようなチャンスはどのような技術を学ぶかよりとても大きいですからね。

※1アジアバーチャルヒューマン協会 HPはこちら

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今回、とても興味深いお話を聞くことが出来ました。
デザイン×テクノロジーの考え方であったり、チームでモノづくりが出来る人材の大切さであったりなどは、
TECH.C.の教育のベースと共通する点も多く、今回のコンテストにも活かされていると思いました。

昨今、バーチャルプロダクションは幅広いところで使用されています。

「48時間バーチャルプロダクションコンテスト」については、こちらの記事を御覧ください。

次回のコンテストやワークショップの際にも、ぜひ学生たちの参加を期待しております。

入学事務局

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