アニメ撮影
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アニメ撮影

作品を完成させる最終工程を担う

アニメ撮影とは

アニメのクオリティを左右する大きな役割

アニメ制作には「撮影」という工程があります。あまり聞きなれない工程ですがこの「撮影」で映像の最終的な仕上げをおこなっています。撮影の仕事ではアニメーターが描いた作画や背景美術、CGなどの素材を合成したり、エフェクトのような撮影処理を加えることで1つの映像として作品を仕上げます。
撮影の工程ではぼやけさせたりエフェクトを入れたりとさまざまな加工をおこなうため、撮影の技術が作品の最終的なクオリティに与える影響は大きいです。作品の印象を決定付ける責任の大きな仕事と言えるでしょう。

なぜ「撮影」と呼ばれるのか?

パソコンを使って作業しているのに「撮影」と呼ばれているのは不思議ですよね。実はデジタル化する以前、セル画を使っていた時代には実際にカメラを使って撮影をしていました。今でも撮影と呼ばれているのはその頃の名残で、日本のアニメ業界以外ではこうした作業をコンポジット(合成)と読んでいます。

どんな仕事?

音声やエフェクトを加え、作品の魅力を最大限に高める仕事

撮影の仕事は大きく分けて、「線撮」による作業用のデモづくりと「本撮」による放映用の完成品づくりという2種類があります。映像の完成を待ってからアフレコなどを始めたのでは効率が悪いので未完成版となる線撮が利用されるようになりました。線撮で制作した動画はアフレコや音響制作のほか、カットの尺調整などにも使われます。本撮では完成した作画にさまざまな撮影処理を加え、映像としての完成度を上げます。武器に光沢を追加したりする工程もこの撮影処理です。
アニメ制作は放送時間や公開日ををずらしたりできない時間厳守な仕事なため、映像の完成品を仕上げる撮影では締切を守ることが何よりも重要となります。最終工程となるので制作の遅れの影響を受けやすく、スケジュールの厳しいときは徹夜が続くこともあり体力のいる仕事です。編集中にリテイクが発生することもあるので最後まで気が抜けませんが、いざ放送を迎えると大きな達成感や大きなやりがいを感じられる仕事です。

  • POINT01

    線撮(せんどり)

    絵コンテや原画など作画が完成する前の未完成な状態で撮影をすることを「線撮」と呼びます。
    線撮は実際に動かすことで尺やタイミングを調整するためだったり、作画の完成を待たずに音響制作を進めるためといった理由で制作されます。線撮の中でも絵コンテを使うものを「絵コンテ撮(えこんてさつ)」、原画を使うものを「原撮(げんさつ)」と呼びます。

  • POINT02

    本撮(ほんどり)

    完成した作画を使って放送で使用する映像の制作をおこなう工程。多くの現場ではAdobeのAfter Effectsが利用されています。光の演出やエフェクトの追加、特殊効果などさまざまな演出を追加することで作品としてのクオリティをアップさせます。30分アニメなら300カット、映画なら1000カット以上撮影するのがほとんどです。

  • POINT03

    撮影処理

    本撮では撮影処理によって映像にさまざまな特殊効果や演出を追加します。撮影処理が映像に与える影響は大きいため非常に重要な仕事です。撮影処理の例としては金属に光沢を入れる、爆発を光らせて派手に演出する、食べ物にディテールを追加して美味しそうに見せる、メカに汚れを追加する、版画のような処理をするといったものがあります。基本的にはレイアウトやタイムシートに書かれた指示をもとに画面を作りますが、処理方法やバランスは撮影の腕にかかっています。

  • POINT04

    完成・提出

    完成した映像を監督に提出してチェックをしてもらい問題があれば修正します。合格した映像は編集へと送られ、ポストプロダクション工程に続きます。

どうすればなれる?

アニメ撮影への道のり

映像制作に必要となる知識はツールの使い方だけでなく演出方法や間の取り方など多岐に渡るため独学で習得するのが難しいです。アニメ撮影を目指すのであれば専門学校のアニメーター専攻や大学の映像科へ通い、映像制作の知識を身につけることをオススメします。学校でツールの使い方や演出の手法、タイムシートの読み方など基礎的なことをしっかりと学び即戦力として業務を開始できるようにしましょう。就職活動の際には自分の実力をアピールできるポートフォリオの用意をして撮影専門会社や撮影部門をもつアニメ制作会社の求人へ応募することになります。就職に強い専門学校では独自の説明会やインターンシップ制度を利用できるのでそうした学校へ入学するのも近道となります。

求められる知識・資質を磨く

  • POINT01

    デジタルツールの知識

    撮影処理ではAfter EffectsやPhotoshopなどのデジタルツールをフル活用しています。基本的な使い方だけでなく効果的な演出方法も身につけましょう。

  • POINT02

    演出力

    撮影のスキルしだいで画面の印象は大きくかわります。演出力を鍛えてクオリティの高い映像制作を心掛けましょう。

  • POINT03

    コミュニケーション力

    撮影処理チームのメンバーだけでなく監督や演出との打ち合わせも多いです。相手の意図をしっかりとくみ取り自分の意見を提案するにはコミュニケーション能力を磨くことが肝心です。

必要な資格・試験情報

アニメ撮影になるために必要となる資格はありませんが、役立つ資格をいくつかご紹介します。

撮影処理の演出では色選びや色使いが重要となるので色の理解を深めるために「色彩検定」は有効です。また「Photoshopクリエイター能力認定試験」もアニメ撮影に関連する知識が得られるのでオススメです。Adobe社公認の資格なので幅広い場所で活躍できるでしょう。After Effectsのソフトを使いこなせるスキルやCGスキルなどツールを扱えることは前提としていた方が即戦力として活躍できる可能性が広がるでしょう。学校や講座、参考書などで勉強し確実にスキルを身につけていくのがオススメです。

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